願かけ絵馬の考現学
~第七十七講~

願かけ絵馬の考現学

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絵馬のアイコン写真

[ねがい]

豊前市立小・中学校が、
私が係長でいる間
これ以上水難に
みまわれませんように。

大分県中津市 
百瀬晴美 
[久留米市 水天宮]

ねがい、というのは最初から絵馬に印刷されている。
で、この願主の願いは水難除けである。
豊前市と中津市は大分県の周防灘に面した、お隣同士の市である。
願主は、中津市在住で隣の豊前市の市役所か何かに勤務しているという訳であろう。

そして、久留米市の水天宮は、全国に数ある水天宮様の総本宮だという。
今日、水天宮と言えば、安産・子育て祈願などを行なう神社として知られているが、その起源から言えば、やはり水難除けや漁業・海運関係などの安全祈願が本来であろう。

この全国総本宮なる久留米の水天宮は、阿蘇山を水源として有明海に注ぐ九州随一の大河である筑後川、別名、筑紫次郎の岸辺にあって、まさにそういう願いをするにふさわしいのである。

筆者は、豊前市の小・中学校がどんな水難にあったか知らないのであるが、子供たちの安全はきわめて重要なことであり、わざわざ久留米の水天宮本社にまで水難除けを祈願しに来るのも、けだし、故ないことではない。
大分県の中津、豊前から福岡県の久留米市までは決して近いとは言えないのだが、それをものともせず、水難除け祈願に詣でる熱意は見上げたものだ…、と言いたいのだが。

すでに受講生諸氏(あなた方のことだ)もお感じの通りであるが、「私が係長でいる間」とは何ごとか。
筆者の独断と偏見によれば、絵馬で願掛けをする公務員あるいは公務員志望者には、あまり感心できない御仁が少なくないのであるが、これは相当ヒドイのである。
そりゃあ、自分が教育委員会の学校教育課あたりの係長で、管轄の学校が洪水被害に遭ったのであれば、その対策や後始末は並大抵のことではなかったろう。
ひょっとすると、犠牲者などが出たのかも知れない。
で、もう二度と、こんな悲惨な体験はしたくない、という痛切な気持ちなのかも知れない。

しかし、である。
それにしても、である(くどいか)。
自分がその担当である「係長でいる間」というのはあんまりではないか。
筆者は、この願主が単に適切な言葉遣いを知らないだけ、単に日本語が上手でないだけであることを、祈るばかりである。

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