願かけ絵馬の考現学
〜第五十九講〜








  株式会社
○○○○○
人事部に入社
できますように。
平成○○年○月○○日
卓也
[三島市 三島大社]
  会社は、関西系で、新興の電機・雑貨メーカーというか、酒・食品から日用雑貨、宝石類まで扱う、ちょっとつかみどころのない商社兼メーカーである。
同じ発音の名前を持つ有名私大もある、と言えば、わかってしまうだろうが…。
まあ、そういう企業に就職したいというのは、卓也クンの熱心なシューカツ、企業研究の結論であって、他人がとやかく言うことではない。
しかし、だ。
「人事部に入社」したいというのは、何なのだろうか?
どこかの会社に入って、その段階で自分は人事部に配属希望であるというのは理解できる。
あるいは、自分は技術者として生きて行きたいと考えており、あるメーカーの研究開発部に勤務したい、という希望もわかる。
しかし、この願文の文面から言っても、奉納の期日から言っても、卓也クンはまだその株式会社○○○○○に就職は決まっていないようである。
で、人事部希望だと…。
無論、人事の仕事も重要だし、自分はその分野でエキスパートになりたいのだという希望もあり得よう。
ならば、別に株式会社○○○○○でなくても良いわけだ。
というより、この株式会社○○○○○の微妙な企業活動の内容からすれば、もっと他の企業でそれを願っても良さそうなものだと思う。
いや、決して株式会社○○○○○を揶揄するつもりはないのであるが。
それとも、卓也クンは、そういう企業だからこそ人事の仕事にやりがいがあると判断したのであろうか?
あるいは、自分はもとより技術系ではないし、かと言って営業も嫌だし、人事あたりなら人を動かして面白そうだから、などと考えたのか。
これはまったくの偏見であるが、どうも卓也クンの願いの理由は、案外下らないことのように思えるのである。
株式会社○○○○○人事部に好きな彼女がいるとか。
受講者諸賢の感想はいかがであろう。
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