願かけ絵馬の考現学
〜第五十四講〜








  今年こそ貴史以上の
人が現われますように。
貴史よりいい人と
会いたいよお 

麻美
[新潟市 白山神社]
  これは、二通りの解釈が可能である。
もちろん、筆者はヒネクレものであるから、貴史という名の別れた彼氏より、素敵な人と巡り合いたいという素直な願いなのだ、とは読まない。
それ以外に、二通りである。
ひとつは、要するに麻美くんは貴史に未練タラタラなのだという解釈だ。
わずかこれだけの願文に、別れたオトコの名前を二度も出すのは、いかに麻美くんの心の中で、貴史の存在が大きいかを示すものだ。
まあ、次の願主の奈菜くんのような素直な表現ではないが。
もっと私の魅力が高まり、
必ず、もう一度、別れた
彼氏とやり直せますように。
(竹中義則)
もう一度、必ず私に振り向いて
くれますように。

大川奈菜
[新潟市 白山神社]

貴史も、竹中義則も男冥利に尽きると言うものである。
で、もうひとつの解釈は、麻美くん、誰かほかの女性に貴史をとられたのである。
そうして、もう貴史を取り返せる見込みもないという状況である。
こうなったら、半端なオトコでは妥協できない。
この屈辱を晴らすには、もう、貴史以上のオトコを手に入れるしかないのだ。
憎っくき恋敵と、それに靡いた薄情者の貴史を見返してやるには、誰が見ても貴史なんか目じゃないというイイ男をゲットするしかないのである。
このあたりの女性の執念には、恐るべきものがあるのだ。
たが、しかし…、そんなことに拘っていると、行き遅れるぞ、麻美くん。
余計なお世話だが。
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