願かけ絵馬の考現学
〜第四十四講〜








  国家三種
長岡市役所
郵政、裁判所
石川県職
公務員に絶対受かって
自分を変えたい!!
合格できますように!!
三島町 大野由里子
早く身辺整理が
済み、無事に離婚
できますように!!
そして、由里子と
幸せになりたい!!
いつまでも同じ道を
歩いて行きたい!!
金沢市 高坂良朗
[新潟市 白山神社]
  1枚の絵馬の左右に、それぞれが書き分けたものである。
早い話が、離婚協議中の男が、再婚相手と考えている女性とお参りに来たのであろう。
男性の高坂クンは石川県金沢市在住、女性の由里子クンは中越長岡市近郊の三島町在住で、交通の便の良い新潟市でデートして、せっかくだからと新潟では有名な白山神社に願かけに来た、という訳である。
…しかし、これほどワケのわからない願かけ絵馬も珍しい。
まず、この由里子クンのものの考え方がわからない。
と言うより、ケシカランのだ。
公務員になることで自分を変えるとは、どういうことなのか。
まあ、この厳しい世の中で、公務員ほど身分の安泰な職もないから、それをめざすことは理解できる。
今や、公務員と言えば、一種の特権階級みたいなものになっている訳であるから。
なにしろ、地方へ行くと公務員が地域一番の高給取りだというところが珍しくないのだ。
だが、国家公務員から県庁職員、市役所職員、裁判所、郵政と、要するに公務員なら何でもいいという考え方を、アッケラカンと表明するその姿勢には、開いた口がふさがらない。
恥というものを知らないのか。
さらにおかしいのが、由里子クンと良朗クンの意識というのが、まるで噛み合っていないことだ。
1枚の絵馬にいっしょに願文を書こうというのだから、少しくらい互いの内容を合わせようとしたらどうなのか。
良朗クンのほうが一生懸命に恋の道を追求しているのに、由里子クンのほうは志も何もない、実利一辺倒の就職祈願。
受かりさえするんなら、新潟県の長岡市職員でも、石川県職員でもいいって、この地域の違いはふたりの結婚後の生活にとっては、相当大きな違いだと思うのだが。
それとも長岡市役所に就職できたら、高坂クンを新潟に呼び寄せるつもりか。
結局、由里子クンは高坂クンとの結婚と言うか、高坂クンの人格など、鼻クソほどにも考えていないということだろう。
筆者は自信を持って断言するが、この二人、結婚しても絶対にうまく行かない。
まあ、高坂クンが、こういう由里子クンのいいなりでうまく行く、という事態も考えられなくもないのだが。
[第四十五講へ] [トップページへ] [第四十三講へ]