願かけ絵馬の考現学
〜第三十四講〜






 
幸福に結婚できます
ように。両家が幸福で
ありますように。幸福。
菅沢由美 
[石巻市 羽黒山鳥屋神社]
  もちろん、自分や家族の幸福を願わない人はいない。
ましてや、これから結婚するというのであるから、今後の幸福を祈願するのは当然のことである。
しかし、わずか3行、30文字足らずの願文に「幸福」が3つ。
しかも、最後には単に「幸福。」と念押しまでしてある。
願文の行替えは、原文通りである。
市会議員選挙の候補者名の連呼でもあるまいに、そこまでくどいと、神様のほうでも嫌気が差すのではないかと、つい心配になってしまう。
この最後の「幸福」が、バカデカイ文字とか、飾り文字にでもなっていれば、まだ救われるが、淡々とした、ほかと同じような書体であるから、何か不気味な感じさえしてくる。
この異常なまでの「幸福」への拘りよう、由美さんは、よほどこれまで幸福とは縁遠い、不幸だらけの人生を送って来たのであろうか。
まあ、ちょっと失礼に当たるかも知れないが、次のような人もいるのであるから、そう悲観したものでもないよと慰めておこう。
幸せの意味が
わかるようになりますように。
兵庫県伊丹市 
松野康三 
[和歌山市 紀州東照宮]
これがおふざけでないとしたら、何とも味わい深い、もとい、心に沁みる願文ではある。
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