願かけ絵馬の考現学
~第八十ニ講~

願かけ絵馬の考現学

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[ねがい]

人の心や傷、痛みがわかる
心優しい元気な赤ちゃんが
無事に産まれて
家族全員が幸せに過ごせます
ように。

愛情いっぱいの家庭が築け
ますように。

福岡県○○郡○○○町▽▽▽▽××-×× 
メゾン○○○○○○××-×× 
平野義和 綾香 
[久留米市 水天宮]

気持ちはよく理解できるのである。
だが、生まれてくる赤ちゃんに対して、人の心を理解しろというのは、やはり過剰な期待であろう。
ましてや、「傷、痛み」までわかれというのは、あまりに無理な要求と言うほかない。
いくら、赤ちゃんが生まれて成長して行く中で、そういう人間になってほしいという願いであっても、まだ胎内にいる間に、そういう願いを突きつけるのは、早期英才教育に走る教育ママみたいなものであろう。
いくら何でも、行き過ぎである。

で、筆者は冒頭、気持ちはよく理解できると書いたが、じっくり考察してみると、このご夫婦がこんな先走った、過剰な願いをするには、それなりの理由があったのではないだろうか。
つまり、このおふたりの周囲には「人の心や傷、痛み」を理解できない人々、理解しようとしない人々、それも彼ら夫婦に対して相当な影響力や強制力を持つような人々、あるいは権力者がいて、彼らをひどく苦しめたのではないか。
その彼らの辛い経験からくる恨みや悔しさといったものが、生まれてくる赤ん坊には、決してそんな人間になってほしくないという願いとなって、この願文に表れたものであろう。
たとえば、次の願文を見れば、そういう心の動きというものはよく理解できるはずである。

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誠実で嘘をつかない
心のきれいな、健康で、
経済力のある男性と
再婚できますように
お導きよろしくお願い
致します。

(無署名)
[久留米市 日吉神社 摂社産霊宮]

日吉神社にお願いしたこの女性(たぶん)は、「誠実で」なく、「嘘を」つく、「心のきれい」でない、不「健康」な、「経済力の」ない男性と結婚し、破綻に至ったわけである。たぶん。
妙に、願いを並列的に列挙しているところなども、精神状態として最初の願主夫婦と似通ったところがあるのかも知れない。

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