願かけ絵馬の考現学
~第六十七講~

願かけ絵馬の考現学

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・お父さんの会社が倒産しません様に。

・親子3人、事故、病気がない、明るく楽しい一年であります様に。

・息子の成績が上ります様に。

・お金持ちになります様に。

×××(住所)
鷲塚 寛 
[新潟市 白山神社]

願主は、男性らしい名前が一人分、書いてあるだけである。
また、「お父さん」「親子3人」「息子」といった言葉から推し量れば、この家族は、父親、母親、息子の3人で構成されると見るのが妥当というものである。
これらをそのまま受けとめて解釈してみよう。

まず、願主は男であるから、それは父親か息子しかない。父親だとすると、「親子3人」「息子の成績」はいいが、自分の会社のことを「お父さんの会社」と呼ぶ言い方があまりに幼稚で、そぐわない。自らの切迫した問題で、自分のことを「お父さん」などと呼んでいるようでは、見通しは暗いのである。
息子だとすると、「親子3人」「お父さんの会社」はいいが、「息子の成績」というのが変である。

つまり、願文記載上の願主と、願文それぞれの願主は同一でない、数も違うという解釈を採らざるを得ないのである。
筆跡は皆同じであるから、誰かが書き役を務めたのであろう。
問題は(別にたいした問題でもないが)、それぞれの願文が、この家族の誰の願いであるのか、ということである。

最初の、「お父さんの会社が倒産しません様に」などという、ストレートで、かつ切実な願いは、お母さんにしかできまい。
で、そのお母さんのストレートな願いと、勤務先企業の経営悪化という現実情勢を受けて、少々立場の弱いお父さんが、あえてお母さんの願いには取り合わず、人間としての器の大きさを見せておこう、それでこの場を切り抜けようと考えて願ったのが、「親子3人、事故、病気がない、明るく楽しい一年であります様に」というものであろう。
そして、息子の成績向上を祈る願文は、当然、お母さんである。
家族の健康と明るい家庭を願ったお父さんは、そういう、ある意味で生臭い願いはしないのである。

そして最後の「お金持ちになります様に」というのは、あまり成績の良くない、ノーテンキそうな息子ご当人の願いと見るのが良いと思う。これで問題解決である。何が問題だったのか判らないが。
受講者諸君の見方はいかがであろうか?

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