願かけ絵馬の考現学
~第六十ニ講~

願かけ絵馬の考現学

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今度の転勤先を下関

に近いところにしてください。

お願いします。

山口市大字○○××-×× 
中浜寛子 
[山口市 多賀神社]

まあ、サラリーマンにとって転勤というものは辛いものである。
中浜さんは女性であるし、山口市と下関市となれば、同じ県内で通勤先が変わるだけ、ということかも知れないが、それでもやっぱり気になることである。
山口市と下関市なら、直線距離でも50キロ以上あるようだから、中浜さんの自宅がどこにあるにせよ、結構大きな問題である。

で、その気持ちは理解した上で、というか、気持ちを理解するからこそ言うのであるが、願文にあまりにも愛想がない。
訴えるものがない。
ストレート過ぎる。
これでは、まるで会社に出す申請書みたいなものである。

神様に頼み事をするのであるから、もう少し工夫があっても良いのではないか。
心中を吐露する、切々たる訴えまで期待はしないが、何かこう、もう少しお願いの仕方があろうと思うのである。
もっとも、こういうあっさり系の願かけ絵馬はそう珍しくなくて、たとえばこういうものもあった。

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次男に
かわいいお嫁さん
お待ちして
おります。

京田辺市 
山崎富美江 
[赤穂市 大石神社]

達筆で、さらさらと書いてある。
まあ、町内旅行か何かで訪れたついでに、絵馬を奉納する気になり、じゃあ、なかなか縁談のまとまらない次男のことでも、というくらいのノリで書いたものであろうから、構わないのであるが。

しかし、相手は仮にも神様なのである。
「お待ちしております」って、これではまるで、料亭の女将かバーのマダムが、得意先企業の総務部長か何かに出した手紙ではないか。「お近いうちにまたお待ちしてますわ。」というお見送りの挨拶ではないか。
大石神社に祭られている赤穂義士の面々も、

「いや、拙者らの守備範囲はそういう方面ではござらぬによって…。」

と、さぞガックリ来ていることであろう。
まあ、妙に暗いよりはましか。

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紛らわしいが、大きいのが
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