願かけ絵馬の考現学
〜第十三講〜








 
悪縁が切れますように。
鼻づまり、ちくのう、手のふるえがなくなりますように。
金運。将来国会議員になれますように。
  元山龍宏 三十一才 
[京都市 安井金毘羅宮]
  縁切りで定評、あるいは実績のある神社には、男女の縁だけでなく、こういった病気などとの縁切りを願う人も多いのである。
縁切りという形で、病気平癒を祈る訳だ。
庶民の知恵とも言えようし、神様の巧みな商魂、とも取れる。
それは良いのであるが、この元山氏、少々欲張り過ぎのような気がする。
私もアレルギー性鼻炎が持病なので、鼻関係の疾患のうっとうしさはよく承知している。
手が震えるというのも、困ったものであろう。
同情申し上げる。
しかし、そういう悪いものとの縁切りと同時に、お金との縁もお願いしてしまうというのは、いかがなものであろうか。
神様も昨今いろいろと多忙を極めておいでのはずであろうから、やはりこういうものは種類別に整理して、別の申請用紙、じゃなかった、絵馬でお願いすべきだと思うのである。
「それならそれで、縁切り用と縁付き用、二種類の絵馬を用意しておけよ」なんていうのは、お願いする者の言うべきことではない。
第一、忙しい神様がうっかり間違えた結果、病気との縁をさらに強化され、金輪際、お金との縁を切ってしまわれたりしたら、困るのは元山さんご自身ではないか。

しかし、そんな心配、まずないだろうが、こういう人物に国会議員になられたりしたら、かなわんな。

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