願かけ絵馬の考現学
~第百七講~

願かけ絵馬の考現学

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絵馬のアイコン写真

受験する
学校に
全部
合格
しますように。

堺市 
桑野美緒 
[防府市 防府天満宮]

何の変哲もない、願掛け絵馬の願いの定番、受験の合格祈願である。
しかし、この願いには本質的な矛盾を孕んでいると言わざるを得ないのである。
実は、この絵馬は第十講で参考例として取り上げたものであるが、上記の点で、再度検討の必要ありと判断し、再掲することにした。

そもそも、神様に受験合格祈願をするのは、ほんとうに心底、信じているかどうかはともかくとして、形式的には、願いを叶えてもらえるかも知れないと信じるからである。
それがないのなら、願掛け絵馬の奉納ということ自体、成り立たない。
だから、自分のほんとうの願いそのものを、ズバリと書けば良いのである。
実際、多くの人がそうしているのだ、次の例のように。

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関東学院大
実践女子大
東京家政学院
の、どれか一つ合格しますように。

大学生になりたいです。

渡辺宏美 
[新潟市 白山神社]

宏美さんは至って正直である。そして願いも切実である。
白山神社の神様だって、それなりに心を動かされるかも知れない。
あるいは次のような願いもある。

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自分「命」
志望校合格
何事もうまくいくべし!!

白石義郎 
[廿日市市 宮島 厳島神社]

少々傲慢で、支離滅裂な印象もないではないし、具体的な大学名も書いていないが、これだって自分の志望する、まさにその大学に受かりたいのだという、確固たる意思が見て取れるのだ。
次の願いも、人生を真面目に考えるという意味では少々いい加減のようはあるが、願掛け絵馬の願文としては、至ってまともである。
ともかく、どこかに入りたいという願いだけは、よく理解できるのである。

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国公立の大学院
どこでもいいので
合格できますように。

東京理科大学 
摂津 芳雄 
[廿日市市 宮島 厳島神社]

しかるに、冒頭の美緒さんの願いはどうであろう。
志望する学校に全部合格したところで、全部に入れるはずはない。つまり、そういう願いは叶えてもらったところで、ほとんどが無駄になってしまうのである。
神様に、無駄な労力をかけてはいけない。
結局、そういう願いをするということは、美緒さん自身、防府天満宮の神様を信用していないということ、願掛け絵馬の奉納をまともに考えてはいないということを、自ら証明しているのだ。
そういう願掛けは良くない。神様だって、気分が悪いだろう。
それとも、ほんとうの希望校はまだ決められていなくて、たくさん合格した中から、安心してゆっくりと選びたいということか。それはそれで進路選択についての考え方が甘いという話になるだろう。
また、美緒さんがたくさんの学校に合格したお陰で不合格になる人が出る(決めつけているが)、ということも考慮していただきたい。

美緒さんには、猛省を促したいものである。

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